しろんのブログ

詩集と写真

花見の話


「きれいだ」

カッコつけた訳でも
君を口説こうとした訳でもない

青空と桜と君
そんな特別な組み合わせに
思わず口に出てしまった

君がこっちを見た

聞かれた?
キザな奴なんて思われたくないな

僕は視線を桜に向けて
「サクラ 綺麗だね」
そう誤魔化した


仕方がないんだ 今日の君はとびきり可愛いかった
いつもの制服とは違くて

何が違うって聞かれても上手く説明出来ないけど
桜並木なんて二の次になる位は可愛いと思った

君と合流してからずっと
周りの男の視線が君に向いているのがわかる
品定めするような目で見るなよ ムカつくな

今日は僕と一緒に居るんだ
邪魔なんてするなよ

そう威嚇するように僕は君のすぐ横を陣取った


君の手がコンコンッと当たる
左手に全神経を集中させる

恋人でも無いのに手なんて繋いだら引かれる……よな
でも僕の左手は繋ぐための準備は万端だった

風が吹く度に君の甘く 柔らかい香りが鼻をくすぐる
目が会う度に舞い上がりそうな自分がいる
頭の中は手を繋ぐ事しか考えられなくなっていた

そういえば
きれいだ の件からずっと 君が下を向いている
どうしたんだろう……
何か嫌な事をしてしまったか?
下心が伝わった?

何か話題を振らないと……

「来年も一緒にみようね」
焦ってしまって つい、本音が出てしまった

今日だけのつもりで来ていたらどうしよう
思い上がってしまったかな……


なんて、言った後に後悔した

でも 僕の予想とは裏腹に
君は困ったような困っていないような
そんな顔をしていた

でも不機嫌ではないらしい


君の顔色を伺いながら振り回されているのも
なんか悪くないな

僕にはこれが幸せなのかもしれない

こうやって君の事ばかり考える毎日がずっと続いていって欲しい

そう願った