細く細く
ピンとまっすぐな綺麗な糸の上を
私はゆっくりと丁寧に歩いていく
足の付き方
手の振り方
スピードも
手の振りまで気をつけて
完璧なまでに渡っていく
皆がその姿をみては歓喜して
素晴らしいと言ってくれる
果たしてそれは
糸から足を踏み外した時はどうなってしまうのか
時々怖くなる
落ちた私は嘲笑われてしまうのだろうか
糸の上で震える私を誰も気づかない
少しバランスを崩しただけで
みんなの声のトーンが1つ下がるのがわかった
完璧を求めた先には
途方もない圧力があったんだ
私が落ちた時に
きっとみんなは避けるのだろう
誰もいない所に叩きつけられてしまうのだろう
もし1人でも受け止めてくれる人がいたのなら
私は避けてと言うだろう
その人まで巻き込んで潰したくは無いのだから
そんな疑心暗鬼に苛まれながら
今日もみんなの励ましの声に勇気をもらい
心の鬼に立ち向かうのだ