しろんのブログ

詩集と写真

閖の音

朝焼けが伸びるアスファルトの道
光の道を辿るようにバランスをとりながら歩いた

左耳には海の音
右の耳には好きな声

混ざる音が心地良い

海鳥に軽く挨拶をすると
私の真似をするように仲間の所へ飛んで行った

ここは綺麗な海の町
知る人ぞ知る港町

市場に広がる笑い声
しゃわしゃわさわさわ波の音
黄昏に溶け込む恋人達

音も景色も温かい


むかしむかしもキラキラしていた港町
ある日を境に何も無くなった

土煙が舞い上がり
草木は枯れて
砂漠の町

もう終わりだと嘆く声に
過去に叫ぶ悲しみの声
灯火など消してしまうかのように吹き荒れる土嵐

それからみんな頑張った

見向きもされない土地に家を建て
恐れられた水辺に店を建て
魚が戻れば漁に出て

気がつけばそこには人がたくさん集まるようになっていた

恐れの場所は
今や癒しの場所に

画面に映されるその光景は
とても誇らしかった


それでもここは静かで
海の音が綺麗な場所

星が綺麗な場所

月と海が仲良しな場所


吸い込む空気が透き通って
潮の香りが爽やかで
時間が遅くなるそんな場所


微睡む休日の朝
この町に溶け込むのが私の楽しみ