しろんのブログ

詩集と写真

真宵猫

あなたの織った衣に包まれた

どうしようも無く勝手な私を

怒るわけでもない

 

春の夜風は独りではとても寒くて

新緑の木がケタケタと笑っていた

 

真っ暗な闇の中で

虹になる理由を探しては

そもそも光が無いことに気づいた

 

手のひらの光の中にあなたがいた

空を見ないと言ったあなたの言葉が

随分と深く突き刺さった

 

それ以上、足を動かせなくなった

 

 

何度目かの行ってきますは

何度目かのただいまになってしまった

 

こんな愚かな私を

醜い私を

待っていた人がいた

 

有り得ないと思っていた

でも、たしかにそれはあったんだ

 

感謝とか謝罪とか

それよりも先に見えたのは

希望だった

 

そう

希望だった