しろんのブログ

詩集と写真

終わりに憧れを抱く

この渦巻く穢れた世界から
せめて綺麗なままで去りたいと

あるいは
自分という恥ずかしい存在を
無かったことにしたいと

あるいは
誰かの為になるならば

あるいは
虚無の時間から逃げるため

あるいは
自分の心を守るため

人は終わりを知り
終わりに憧れる


死は必ず来る
それは人に等しく与えられた絶対の真理

どんなに権力があろうと死は必ず隣にいる

でもね
人は誰かが隣に居ると死ねないんだ
死ぬ事が怖くなるんだ

あなたの隣に居る死は
とても臆病で
寂しがり屋で
人見知りなの

だからあなたが誰かと一緒に居ると
遠くの方で隠れようとするんだ

そしてあなたは
自分の死をその人に見せたくないと思ってしまう

心に浮かんだその人に見せたくない

そう思ってしまう


そう思えたのなら

まだ生きてみてもいいかもしれない

世の中は狭くて窮屈だけど
世界はこんなにも広いんだ

空は突き抜けるように高いし
海はため息が出るくらい広いし
花はこんなにも鮮やかで優しくて
森の静かな鼓動は綺麗なあなたの心に合わせて鳴り響く

死に方を想い悩むのと同じように
生き方もまた想い悩む

きっとあなたの世界にもまだ小さな火種が残ってる

今はうずくまっててもいい
泣いてもいい
何もしなくてもいい
世の中の役になんて立てなくていい

心臓に手を当てて
目をつむって

あなたのその鼓動が
あなたの世界の希望

今はどうか
その希望が
ゆっくりゆっくり
広がりますように

それが私の願いです